からほり新聞 第7号

からほり新聞 第7号

2005年(平成17年)6月25日発行


三日月眉毛と黒円の瞳。近所のお地蔵さんは、明らかに誰かが後で描いたお顔。その想いに手を合わせてる。
(からほり新聞 第7号 「編集後記」高田)

からほり新聞07-02

1944年(昭和19年)織田作之助は小説「木の都」を雑誌『新潮』に発表した。「大阪は木のない都だと言われているが、しかし私の幼時の記憶は不思議に木と結びついている」で始まり、生まれ育った上町台地を舞台にひっそりと健気に生きる父と姉弟との交渉を描いた作品である。
~中略~
1944年といえば、私自身、作者の卒業した旧制府立高津中学校(現在の高津高校)の三年生だった。今の上町台地の難波宮跡公園一帯は、歩兵第八連隊や被服廠など陸軍の施設が建ち並んで一般人は近寄ることもできず、1キロメートル余り離れた、当時の高津中学校の隣地が仁徳天皇宮跡の聖地とされて、古くから顕彰の大きな石碑が建立されており、私たち中学生は登下校には脱帽して石碑に最敬礼することが義務づけられていた。 (からほり新聞 第7号 「大阪の文学を読む会」福田紀一)

昔は街角のここかしこに掲げられていましたが、どんどん消えていき空堀地区でもわずかしか残っていません。戦時中の歌舞音曲自粛で廃業するまで寄席として繁盛した「沢井邸」の大屋根の西側に1体、古い鍾馗さんが残っています。鍾馗研究家の服部さんは「沢井邸の鍾馗は古い立派なものです。少し壊れていて漆喰で塗り固めてありますが、同じ型で造ったと思われる鍾馗が柏原市に完形で残っております。棟端にエビス、ダイコク、鬼瓦などをあげている家は沢山有りますが、何故か大阪では鍾馗さんを挙げている家はあまりありません。」話しています。「鍾馗」・・・疫鬼を退け魔を除く神のこと。中国の唐時代、玄宗皇帝が病に伏しているとき、先代の皇帝に仕えていたが武功を挙げられず自殺した鍾馗が夢枕に現れ、魔を払い病を癒したという伝説から神格化されたもの。
(からほり新聞 第7号 「鍾馗さんって知ってますか。」)

からほり新聞07-04

谷町が「鉄の町」だったことをご存知なのは、昔からのこの界隈の住人だけではないでしょうか。「昔、谷町6丁目あたりから北は、洋服屋さんの町やったよ。そこから南、楠木通あたりまでは鉄の町やった。機械工具やベアリング屋さんや、うちみたいな焼印・刻印屋が並んでたで」と話してくださったのは、長堀通に今も残る焼き印屋のご主人。谷町筋から「鉄の町」の面影は薄れ、長堀通のお店が変わらず操業しているのには理由があります。昔の谷町筋はいまよりずいぶん道幅が狭く、戦後の道路の拡張工事を機に、鉄に関する仕事に携わっていた職人たちは東大阪市方面に移転したそうです。一方、長堀通は、心斎橋から谷町6丁目を曲がって天満橋に抜ける市電が通っていたので、昔から道幅は今とさほど変わらず広かったのです。そのため、立ち退きもなかったというわけで、長堀通には同じ理由でもう一軒昔ながらの焼印・刻印屋さんが残っています。確かに谷町筋には古い建物はあまり見られませんが、路地をひとつ入ると、今も昔の名残りを感じることができます。戦後から今も変わらない建物で金属加工を行う町工場。長屋の一つを倉庫として使う鋼工場。そして大通りを歩いていると気づくことができない、町工場のにおいと音。そこには昔のままの「鉄の町」があります。
(からほり新聞 第7号 「鍾馗さんって知ってますか。」)

からほり新聞 第7号

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■ 発行/ 「からほり新聞」制作チーム(「非営利活動法人 高齢者介助の会」内)

特定非営利活動法人 高齢者外出介助の会 とは?

◆お年寄りの皆さんにより楽しく充実した日常生活を過ごして頂くために活動しています。

  • 外出介助(買い物、墓参り、通院など)
  • 暮らしサポーター(買い物、薬の受取、入院時支援など)
  • 車椅子貸し出し(お気軽にご利用ください)
  • 生きがい作り講座(童謡・唱歌を歌う会、布ぞうりなど)
  • ハーモニカ教室
  • 「からほり新聞」制作

◆活動に共感してくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、一度、ご連絡をお願い致します。
 お待ち致しております。

所在地 : 大阪市中央区松屋町4-8メイツ松屋町1階
TEL&FAX : 06-6764-4002
Mail : odekake@helen.ocn.ne.jp

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